ある日、コケコッコと、にわとりが鳴くと共に目が覚めた多助じいさんが、おもてに出てみると満天の星空。きらきらきらきらと星が輝いていました。
「あー今日も良い天気だぞ。こんなにもお星様が輝いているんなら良い天気だ。それにしても、何の種を蒔こうかな。」
すると、今まで口をきかなかった女の子が、おじいさんにむかって、「すばる。すばる。」と、言うのです。「おう、おう、すばる星か。あー、ごちゃごちゃ星とも言うんだが、あの星を、お前は知っているのか。」
「おそば。おそば。」
「すばる、おそば。ほー、おそばか。そうか。それは昔、誰かに聞いたことがある。すばるが頭の上の方に来た時に、おそばの種を蒔くと、たくさん取れるという話だ。そうか、お前は、それを教えてくれるのか。いや、ありがとう。」
すると、女の子が小さい袋を差し出しました。「え、何。そばの種。お前は、そばの種を持っていたのか。そうかい、そうかい、ありがとよ。」
昔から、いろんな所で言われているのですが、「すばる、まんどき、こなはちごう。」と、言われています。すばる、まんどきというのは、夜明けとともに空を見上げた時、すばるが頭の上にきた時という意味です。こな、はちごうとは、その時、そばの種を蒔くと、たくさん、そばが取れるというそのことを、女の子に教えてもらった多助じいさんは、さっそく、おそばの種を意味です。蒔くことにしました。
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