皇帝は、老人をいたわって、立派ないすにつかせ、話かけてみましたが、例のとおり、にこにこしているばかりです。
「なるほど、聞いたとおりじゃ。これでは、いたしかたない。」
皇帝は、わらって、用意した酒とさかなを運ばせました。
老人は、朱塗りの大さかずきをとって、美しい侍女が、両側から、つぼの酒をなみなみつぐと、さもうまそうに、ごくごくと飲み干しました。
なみいる家来達は、その飲みっぷりにおどろき、目を丸くしました。
皇帝は、もう大喜びです。
「めでたい、めでたい。さあ、どんどんついでつかわせ。」

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