やがて、居酒屋から出てきた老人は、長い「つえ」をついて、ゆっくりとした足取りで、こっちにやって来ました。
顔は、福々しく、白い眉毛がたれていますが、背がずんぐりと低くて、十五、六歳の子ども位しかありません。その代わり、頭がひどく長くて、普通の人の三倍もあります。
その長い頭に、これもおかしな「ずきん」をかぶっていて、着ているものも、絵にある仙人みたいな「ころも」です。
持っている「つえ」も、仙人がつく「あかざ」という木で、柄が曲がりくねっています。
みんなが、とりまいても、にこにこしていて、まるで春風にうかれだした人みたいです。

すすむ