プロフィール


木内 信夫

大正12年(1923年)、東京赤坂に生まれ育つ。
航空技能養成校卒業。満州で航空隊・飛行戦隊を経て、終戦後旧ソ連に抑留。

昭和23年(1948年)7月に復員後、小糸製作所(沼津)勤務の傍ら、絵を描き始める。

小糸製作所が解体した後退社。東京に移り住み、絵を描き続けながらパン屋、菓子屋、小物屋、ろうけつ染め職人、焼絵職人、クラフト職人、かんざし絵職人などの職を経て今日にいたる。

暗い軍国主義の日本にあって時代に翻弄されながらも、優しさや人間としての尊厳を失わず、「明日への希望」と支えあう心を大切にしながら日々の生活をまっとうする人々の姿を温かく、そしてどことなくユーモラスに描くそのイラストは、画風、メッセージ性、並びに「昭和初期」という時代の記録としても国内外から高い評価を得、郷土史関係の記録本(『赤坂青山町会連合会・創立50周年記念冊子』(2005年出版)、『語り継ぐ赤坂・青山「あの日あの頃」』(2012年出版)、『語り継ぐ赤坂・青山「あの日あの頃」2』(2015年出版)、『(ロシア連邦)沿海地方制定70周年祝賀記念本』(2008年出版/ロシア語)、『川柳マガジン』(2001)他)等に掲載されている。月刊誌『江戸楽』に連載コーナーを担当している。

また息子である正人氏の協力を得て作成した、旧ソ連抑留体験を描いたイラスト&メッセージから成るホームページ『旧ソ連抑留画集』は、Yahoo! Japan等におすすめサイトとして紹介されている他、(財)AVCC公共ホームページ1999《good site》賞などの賞を受賞し、国内外の新聞でも大々的に取り上げられた。

その活動範囲はイラストのみに留まらず幅広く、劇団四季の歴史三部作『異国の丘』においては舞台衣装の時代考証を担当する。また、劇団四季の『異国の丘』公演に際して、東京、名古屋、京都のそれぞれの四季劇場内で展示会が開催された。ピアニスト宮崎朋菜との『新絵巻・平家物語・LIVE』でのイラスト。望月龍平シアターカンパニーのシベリア抑留と引き揚げをテーマにした音楽劇『君よ 生きて』への協力。その他にも樋口一葉記念館での展示会、千葉県柏市や大阪府藤井寺市「平和展」など、数多くの展覧会を開催。イラストを通して「平和への願い」を呼びかけるその姿勢には、国境を越えて数多くの賛同者、共感者がいる。

現在、地元千葉県柏市の地元紙に連載する傍ら、柏プラネタリウムのための投影イラストの制作、学校講演、各種講演会の開催など積極的な活動を続けている。

なお、平成27年(2015年)10月10日。京都府舞鶴引揚記念館に寄贈した抑留イラストのうち40枚が、ユネスコ世界記憶遺産として登録された。ユネスコ世界記憶遺産としては日本初の生存作家となった。同年、11月3日に柏ユネスコ協会より感謝状が授与された。

撮影:木内とみえ


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