モスクワからのテレビ取材


平成22年11月11日 (文/HP管理者 木内正人)

「旧ソ連抑留画集」英語版を翻訳して下さったモスクワ在住のフィリップ・トンさんからメールがありました。内容は「ロシアのテレビ局の取材を受けてもらってもいいでしょうか?」というものでした。フィリップさんからのご紹介なら喜んでお受けしようと返事をしたところ、すぐさまテレビ局のプロデューサーからご連絡あり、瞬く間に取材日程が決まりました。

何より、我が家にロシアの方々をお迎えするのは初めてのことです。心配な面はいろいろあります。まず言葉の問題ですが、これはプロデューサーからご連絡で通訳の方がいらっしゃることがわかり一安心です。あとは、いつ何時に待ち合わせるか。これもモスクワから来られる彼らの日程により11月11日しかないということで、その希望日に柏駅南口に17時に待ち合わすことにしました。

さて、その当日。指定の時間に会えたのは通訳の方のみ・・・なんと!テレビ局の方々は飛行機の遅れで間に合わなかったようです。しかし、こうしたトラブルはよくあることなので気にもしません(私もだてに海外出張をしておりません(笑))。とりあえず、通訳の方としばらく喫茶店で彼らの到着を待つことにしました。むしろ、この待っている時間が重要なものとなりました。通訳の方は今回の仕事を前日に依頼されていたようなので、父のホームページについてまでは充分に把握できてはいなかったようです。そんなとき、喫茶店での私との事前の話しがその後のインタビューをスムーズにしました。また、通訳の方は川崎市とキルギス共和国との国際交流にも力を注いでらっしゃる方で、私も市民ボランティアでもあり“かしわハート大使”でもあることから、いろいろと話が合いました(笑)。奇しくも喫茶店の上の階は「かしわインフォメーションセンター」だったので、テレビ局の方々が到着するまでの間、柏市のことや私個人のボランティア活動についてご紹介することができました♪(「かしわインフォメーションセンター」の皆様、ありがとうございました!)

テレビ局の方々も無事柏に到着し、我が家へと向かいました。彼らの本当の来日目的はAPECの取材でした。しかも、滞在先は横浜にもかかわらず、遠く柏まで足を運んで下さったのです。本当にお疲れ様でした!また、ロシアのテレビ局の方々も通訳の方ともに若く、そしてとても礼儀正しいので、父も母もとても感心していました。

ともあれ、時間も押しているので早速インタビューです。まずは彼らから様々な質問がありました。何より若い彼らは、旧ソ連での日本人抑留者がどのようなものだったか知る術などほとんどありません。重要な生き証人でもある父は、イラストを見せながら個々のエピソードを伝えます。父は片言ながらロシア語を覚えているので、時々ロシア語の会話になったりしていました。

「ロシアの歌を覚えてますか?」の質問に、父は『カチューシャ』をロシア語で歌いだしました。するとレポーターの彼も一緒に歌いだしたのです。イラストの中に“仲間が寄ってきて大合唱”という場面がありますが、まさにその通りの場面でした。父のイラストに込められたメッセージをいまさらながらに感じ入った次第です・・・。そうこうしているうちにインタビューの時間もあっという間に経ち、彼らも次なる仕事へと向かわなくてはなりません。そしてそれ以上に、通訳の方はインタビュー中にも父をいろいろと気遣って下さいました。

未来を創るのは我々の世代の仕事でもあります。父が個人的に描いたイラストがこうして世界の人々を結び付けているように、優しさの絆を大切に想う気持ちこそ平和を築くものだと私は信じています。この機会を与えて下さった翻訳者のフィリップさん、モスクワのテレビ局の方々、そして同行して下さった通訳の方、そしてさらに「かしわインフォメーションセンター」の皆様、本当にありがとうございました。

ロシア語版「旧ソ連抑留画集」

日本語版「旧ソ連抑留画集」


arwx_c02.gif (1322 バイト) 前のページに戻る