「はいよっと!どいたどいた」。威勢のいい車屋さんが鬢付け油のぷんぷん匂う綺麗どころを乗せて颯爽と走ってゆく。赤坂田町でよく見られる風物詩だった。「あたいも、あんなきれいなお姐さんになりたいと」と女の子は思ったか思わなかったか。(昭和3年)