静かな街中でいきなりピーと云うけたたましい高い音をたてる。犬もびっくして吠える。それは羅宇屋(らうや)。なんでも煙管(きせる)の掃除やさんで、中につまっているヤニを取る仕事だったそうで子供達には関係ないから余り近寄らなかった。あの耳の痛くなるような音は一度聴いたら忘れられない。(昭和6年)