「おいおい。村の辻に、おじぞうさんが、おまつりされているそうだ。」

「へー。だれがおまつりしたんだ。」

「うん。多助じいさんだそうだ。」

「そうか。だけどな、このな、おじぞうさんは、たいしたおじぞうさんだよ。」「へー。何が」

「実はな。かみのばあさんが、『腰が痛え、腰が痛え』と言って。しょうがねえ、医者も治してくれねえ。困って困って、困り果てたばあさんが来て、おじぞうさんにお願いしてな、『腰の痛いの治してくれ』って言ったら、なんと一晩で腰の痛いのが治ったとよ。」

「ヘー。人助けをするおじぞうさん。これは、おたすけじぞうだな。」「うん。多助じいさんが見つけてきたおじぞうさんで、おたすけじぞうか。これは、いいや。」

こういう話は、どんどん広まっていくものです。村中は、もちろんのこと、隣の村、そのまた隣の村、山をひとつ越えたむこうの町、そんな所にも、おじぞうさんのことが伝わってまいりました。

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