長勢了治著「シベリア抑留全史」発刊


第二次大戦後、長期間の収容所生活を送った「シベリア抑留」について、日露双方の膨大な資料に基づき、旧ソ連全域からモンゴルにまで及んだ抑留の実像をあらゆる側面から検証する。日本人兵士ら約60万人が被害に遭った歴史的事件の真実とその全貌を徹底解明。シベリア抑留問題の研究者である長瀬了治さんの新刊です。

目次
ロシアの領土拡大と日本―ソ連モンゴル抑留の前史;第二次世界大戦と日ソ戦争;ソ連侵攻後の在留邦人の惨状及び引揚げ;日本人のソ連モンゴルへの移送;収容所国家ソ連;抑留者数と死亡者数;食料、あるいは飢餓;強制労働;衛生と医療;死者と埋葬;抑留者の日常生活;思想教育、あるいはシベリア「民主運動」;ダモイ(帰国);無実の囚人、長期抑留者;ロシア以外の抑留状況;引揚げ促進運動と抑留者運動;ソ連モンゴル抑留者が遺したもの

著者
長勢了治(写真左):1949年北海道美瑛町生まれ。翻訳家。北海道大学法学部卒業後、三菱ガス化学に勤務。1995年退社、ロシア極東国立大学函館校でロシア語を学ぶ。以後、シベリア抑留問題を研究している。

旧ソ連抑留者は一般に「シベリア抑留者」とも言われておりますが、日本人の抑留はシベリアの一地域ではなく、旧ソ連全域におよぶものでした。そうした意味ではヨーロッパ方面の抑留者は、生存者の高齢化によって一層少数派となっています。北海道にお住まいのロシア語翻訳者の長勢了治さんは、そうした少ない記録も抑留のひとつとして捉え、ご自身のご本にまとめられるべく柏まで父の証言を得に御出で下さいました。

何より、歴史とは正確に記さなければそれは“伝説”になってしまいます。ひとたび誤った解釈で“伝説”となってしまうと、それを是正するのは大変なことです。地道な研究でご苦労も多いことと思いますが。長勢さんのご研究が実りあるものになることを父共にお祈りしています。(2013.8.3)

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